心の贈り物 | 嫁 vs オレ ~それいけ!ヨメ様 実況編

嫁 vs オレ ~それいけ!ヨメ様 実況編

”オンリーワンの嫁”とオレとの日常会話集



嫁語録が完成するその日まで。。。

2004年12月、クリスマス

我が家にクリスマスは訪れなかった。

妻は少し膨れ気味だった。

そんな妻と私は、仕事帰りに、ふと目に留まったイタリアンレストランへと入っていった。

店内は既に空席が目立ち、この時期特有のディスプレイは、少し疲れ気味だった。

奥のほうへと案内された私と妻はスパークリングカクテルを注文し、

もう、品数も少ないであろうクリスマスコース料理を注文した。

妻は、「今年はサンタさんこんの?」とつぶやく。

それは、私に向けられた言葉ではなく、”妻自身”に向けられた言葉だと気付いた。

妻は、私へのプレゼントを用意していない

しばらくすると、コース料理が順序よく運ばれてきた。

食事中、会話もはずむことなく、ただ、店内に流れるクリスマスソングを口ずさむ。

きっと、妻にとって今まで過ごしたクリスマスで一番最悪なクリスマスだろう。

ケーキもプレゼントもない。

いま、目の前にある料理もお世辞にもおいしいとはいえない。

そして、最後のデザートが運ばれてきたとき、私は「ごめんな」とひと言。

精一杯だった。それだけが今準備できるプレゼントだった。

妻は、「来年は豪勢にホテルとか予約してプレゼントもいっぱいもらうから良いネン」と私を慰める。

その言葉は、私の目を伏せさせた。

ふと、テーブルの端に目をやると、緑と赤色の花柄のナプキンが目に入った。

私は、「せやな、来年は豪勢にやろうな」そういいながら、ナプキンを手に取り、

不器用な手つきで花を作った。

そして、それは、妻に手渡された。

「いまはこれでしかないけど。。。」

妻はニッコリと微笑み、手渡されたそれを隠した。

「お店の人にとられるから隠してんねん」妻はそういいながら

そっとカバンに隠した。

失礼かもしれないが、私は、”この”妻でよかったと思う。

妻は、私が夫でよかったのだろうか。

そんなことより、今は妻の笑顔を大事にしようと思う。

それでいい、、、

そう言い聞かせ、店をあとにした。

ゆっくりと、妻と家路を歩いていく。

時々、カバンを覗いては微笑む妻を見て、「また行こうね」と私が言う。

妻は「またっていつ?」と尋ねる。

私は言う。「今度ね」

妻は、「今度っていつ?」とまた尋ねる。

「今度は今度」と私は言う。

掛け合う会話は家に着くまで何度も繰り返された。

絶えない笑い声と妻の笑顔と・・・。

これから幾度となく繰り返されるだろう。

いつまでも、、、、